Pachi! Pachi! Pachi!

星を並べるようなclapを

ミュージカル『スリル・ミー』2023/09/09

9/9スリルミー木村(私)前田(彼)ペアについて

1公演ごとペアごとに私と彼の人生は違うものだと思うので、300人に満たない証言者の一人としてあの夜の話を少しだけ置いておく。

 


応援している人が約2年前に出演したいと言っていた作品スリルミー

この作品を初めて観るキャストが好きな人であることを嬉しく思う。

初日を迎えて感じたものとこねくり回してあれこれ考えたその夜、次の日、その次の日の考えは定まらなかった。

元々達成くんのお芝居、役作りは日々変化する(決してブレてるわけではない)し、今作はより「次はどうなってるかわからないぞ」と思った。

 


むしろ木村前田ペアは「こう!」とひとつに絞ってしまうのは彼らの目指したところではないのでは?とすら思う。

 


普段ななかなかブログとしてまとめるのが遅いが今回も同じようにしていたら損失が大きいだろうなと思いまして。 


何せ座席数が少ない。

300人に満たない座席に座る権利を得られたのなら何か残さねばと思わずにはいられなかった。

彼らの生きた姿を証言しなければ。

 


あれこれ書きたいことは沢山あるけどこれを書いて眠って起きたらその日に2回目の観劇になるのでどうしても文の乱れを無視してでも残したい(なお今は電車の中)

ほぼTwitterからのログ。

突然話が飛びまくるので読む際は勢いだけを感じてもらえたら。

 

 

 

 


スリルミーは実際に起きたショッキングな事件を元にした作品ということで実在の事件をざっくりとは見てから挑んだ。

でも見終わったら倫理観は別として演劇として最高に面白い。

ダメージを受けるかなと思ったけどその点も自分の中では受け止めてるけどどちらかというと達成くんの芝居という雷に撃たれて謎の高揚感があり、周りと比べても自分のテンションがおかしくなってた自覚がある。

ネタバレ見たくないので本当にふんわり。

木村達成さんと前田公輝さんのことしか書かないので以下私は=達成くん、彼は=公輝くんとして書いてます。

 

 

 

 

 

 

暗闇の中現れた私の足取りは重く、青白い光の中私が話し始める。

老けた声を出す私を観て「この人はいったい誰だ?」と思った。達成くんである。

 


役者というものは何歳にでもなれるものだとは思うけど、達成くんがしっかり歳を重ねた男性に見えてびっくりした。

青白いライティングも相まって白髪混じりの、贅肉がついた中年の男性に見える。

 


私が語る過去回想、スリルミーが始まった。

 

 

 

彼役の公輝といえば天てれで見ていた男の子のイメージが強かったので発表当初もすごく驚いたし、達成くんより年上なことにも驚いた。

現在の公輝(くん)の写真を見た時も柔らかさはさのままに爽やかでかっこいい青年になっていてびっくりした。

生で見る彼、すらっとしていて顔が小さくて板の上では鋭い視線がかっこよい。

滑舌も良いし声が良い!歌い方が好き!

達成くんとのデュエット時の相性が良い!

 


とにかく時間がないので色々すっ飛ばして書くけど、

この2人のバランスが最高に好きだった。

 

 

 

楽曲を手に取ることもなく舞台としてのストーリーもあまり触れないでおいてなんとなく『私』という人は愛に狂い、執着を見に纏い、目的を果たす人のイメージがあったけどスリルミー初の自分の達成私への初見の感想は

『天才だったのだ』という感じだった。

 


イメージの問題でもあるけど彼に振り回される私と私を振り回す彼、

見た目の印象も私の方が小さくて臆病で可愛らしさがありそうだと思っていた。

木村・前田ペアは身長が逆転しているし、声が似ていることもあって達成私と公輝彼は公輝彼がどれだけ拒んでも運命共同体で声色も相まって人生も人格も溶け合う運命だったかのように思える。

 

 

 

見終わった直後はハッピーエンドに見えたし私が心底彼を愛していて、彼もまた自覚はないけど私のこと好きだったのだなと思ったけど、考えていくうちにだんだん印象が変わってきて。

 


傲慢でサディストで自分を唯一無二の超人だと言って振る舞って言葉の鎧に固まってしまっている彼はそんな振る舞いをしても悪びれることなく私に向かって「そんな俺が好きだろう?」と言うのが印象的。

『そんな彼が好きで止められなくて哀れで愚かで言うことを聞く彼が好きな私を演じてる』ように見えた。

それでも達成『私』の意識の中では別に演じてないというか…

 


『彼の求める私を演じている』のではなく『彼の求める私で在る』

生き方そのものという感じなのが怖くて、嘘のない芝居を大事にする人が境目の見せないそういう生き方を板の上でしてくれることが良かった。

 

 

 

木村・前田ペアは

超人で在りたい父の愛に飢えた凡人の『彼』と

そんな『彼』の欲求を満たすため頭は良いが思考は普通で臆病で支配されたい側に見せていた天才の『私』に見えた。

 


公輝彼のこと『凡人』と書くと批判に見えそうだけど、序盤は圧倒的強者で表情も鋭いのに後半の髪下ろしたあたりから逃げ出したくて仕方ない絶望感と恐怖の顔が大変良かった。

後半が彼は、彼こそは凡人だった、愛に飢えた青年だったと思わずにはいられないのが公輝彼だったなと。

 


飢餓感の強い人間の一番求めるものを与えることに喜びを感じるのが達成私で、私の方が『与えられてる』『求めてる』『受け身』の印象を強く持つけど、強く出る彼の気分を良くするための行動ででもそれをナチュラルにやってるんだよな…

 


とにかく公輝彼に後半は髪下ろそうって言った人にボーナスあげて欲しい。全力でありがとう。

 

 

 

良し悪しは別として人を支配することというのは気持ちが良いものなのだと思う。

だから人はそれに魅了されてしまうのだと。

人を支配して自分こそ特別で頂点であると確信できたら最高の気分になるのだと思う。

だからそういう幸せを彼に与えてあげていたんだよ、僕こそが超人なのだからというような私

 


公輝彼のこと超人になりたかった凡人、父の愛に飢えてるせいでどれだけ強者側の振る舞いして他者を支配してるように見せても結局内側何も満たされてないから、だからこそ達成私が「支配していると思わせてあげて満たすことで支配する」の、持ち味が効いてて最高。

 


殺人なんて犯さなければ二人は幸せになれたのだろうかと考えたけど、私は彼に「与えてあげている」と思ってたけど公輝彼の満たされないものって多分達成私のあんなやり方では一生満たされなかったんじゃないかなとも思うし、そもそも達成私は止める気さらさらなかったよね。

子供を殺してしまったことだけは後悔しているし反省しているけど、彼の欲望を満たすことが自分の欲を満たすことになるし、99年、永遠一緒にずっとスリルを味わいながらいられるなら一緒にいる場所なんてどこでもいいとすら感じた。

だから二人が罪を犯さなかったなら、というルートは存在しないんだろうなと。

 

 

 

 


私はあくまで信用できない語り手だと思うが、(実際の事件でも罪をなすりつけあってた)木村・前田ペアにおいて効いてくるのが容姿や声などふとした時に似ている所があることだと思う。

顔タイプは全然違うのに板の上にいると混ざり合うというか、歌ってる時は特にそうなので私と彼の言ってることが私とどこかで入れ替わっていたり(主張のずれなど)してそうだなあと思った。木村私のあまりのナチュラルっぷりに全部信じてしまいそうなんだけど。

 

 

 

木村私は天才だったと言ったけど、それはあくまで木村私の独白のを見たらそう思うけど本当にそれは『私』なのか。

実際に起きた事件だからこそいろんな点を事実とは変更してエンタメにしているとは思うのだけど、ニーチェの思想は実際には私、スリルミー内では彼に変わっている点や『私』と『彼』というわざわざ名前でなく呼ぶ点も相まって本当に私なの??と疑いたくなってしまう。

 

 

 

thrill  meの日本語訳は「私を愛して」だと思っているのだけど(だから歌だけど台詞のスリルミー!にもすごいくるものがある)

思ってたけど木村前田ペアはピュアさもあるし…

 


公輝彼は達成私のこと、無意識で好きだけど彼の一番の執着は父親に愛されることで最も消えて欲しいのは弟で彼の最も執着する人はその二人の方が上で私はそれより下だと思う。

だから弟を殺そうといったとき、身内は疑われるからやめようとかいう問題以上にこのまま彼が彼の手で弟を殺してしまったら弟への執着は一生のものになってしまうから、何の接点もない適当な子供を選び、対象をすり替えたのではないか。

 

 

 

ピュアでハッピーエンドな印象を受けつつ、

達成私は公輝彼のことが丸裸で好きなのではなく、公輝彼が私を見る視線が好きなんじゃないの?と思ってやっぱりタイトル通りthrill meはthrill meなんだろ、みたいなことを考えて99年経った。

 

 

 

 


達成くんのお芝居は意図的にここは気持ちがぐっと入った!みたいなスイッチがあることが多いと思う(よく観たらそれが毎回違ったり、明確だったり言葉に言い表せないんだけど最高なの!)のだけど9/9スリルミーでは本当アハ体験(語彙力どないなってんねん)だったんだよわざと見せない感じがさ…

 


あと多分上手は彼の表情の方が見やすい気がするので下手から見たら印象違うかもしれない。

 


毎回達成くんの演じる役を見て、どう考えても達成くんの演じる役(キャラクター)が悪いのに達成くんのお芝居が最高なせいでこちらが必死に倫理観を崩さないように努力したりそれはそのキャラが悪いよって時も達成くんが演じるその役はピュアで真っ直ぐで愛があるから絆されてしまうのどうにかしたい。

 

 

 

それでも元々題材が題材なので、エンタメとして面白くてもこの事件を絶対に肯定することはしたくないと思っていたし、この手の作品は傷ついた人がいることを忘れずに受け止めると決めているので今後も線引きは気をつけていきたい。

 

 

 

さて今夜の私と彼を観てまた何を感じるかを楽しみに劇場へ向かう。

ほぼTwitterログなのでもっと書きたいことをしっかり書けたらまとめるかしてこれは消します。

でもひとまずは9/9の夜の衝撃をここに置いておく。